批評と感想 by東浩紀
歴史を押さえないと、批評の凋落(ちょうらく)とか批評の再生とかいっても印象論にすぎない。
僕が「批評家」と呼ぶのは「評論家」とは違い、このような歴史性とジャンル性を
押さえた存在です。(これは僕の勝手な命名では無く柄谷以来そういう区別になっている)
批評が歴史的ジャンルであるとはどういうことかというと、要は一定の「議論の蓄積」
「発展」があるということです。戦後だけとっても、坂口安吾がこうで江藤淳がこうで柄谷行人がこうで、そして最近は…みたいな「押さえておくべき基本」がある。それをすっとばす批評は「感想」でしかない。
批評家は一つの問題についての見方を、10本くらいいえる訓練をしないと一人前にならない。